Artist Interviews

ウェイ・ジャ インタビュー  2009年

ウェイ・ジャ インタビュー 2009 installation view from [In the Distant Fields and Smoky Woods] at Tomio Koyama Gallery, 2009 ©Wei Jia

——— 簡単に作品の背景にあるストーリーを説明していただけますか?

ウェイ 作品一点一点の物語を説明するのはあまり好きではありません。なぜなら、僕の作品は、まるであたかも物語の一部が描かれているかのように見えるかもしれないけど、これといってはっきりとした物語が存在するわけではなく、様々な解釈の仕方があるからです。作品を見ている人には、それぞれの解釈をもって欲しい。

——— なるほど。では、今回の展覧会のタイトル「はるかな地、かすんだ森で」について少し説明してもらえますか?

ウェイ はい。今回展示してある作品は、全て森のような場所にいる子供や動物が描かれています。
私は子供の頃、「歳をとる」ということがすごく怖かった。歳をとると、出来ることがどんどん限られて行くような気がして、時間が経つこと、歳をとることをすごく恐れていたんです。そのとき抱いていた恐れの気持ちが、今回の作品には描かれています。

——— だから、子供が作品に登場することが多いのですね?

ウェイ はい。例えば、Flight Tabooシリーズでは、人間の背中に羽が生えていたり、羽のコートのようなものを着たりしている。これは(Flight Taboo Ⅱ)、「鳥のように飛びたい人間」が羽を得たことで、飛べるようになった希望に満ちた作品といえるかも知れないし、でもどこか失望しているようにも解釈できる。*1
そしてこちら(Flight Taboo Ⅲ)では、羽をかぶった人間が何か重いものを背負っているようにも見えるし、先にある光をめざして歩いているようにも見える。*2
だから、「はるかな地、かすんだ森で」というタイトルで、この森を舞台に人間や動物を描いているのだけど、それらは色々な可能性を秘めているのです。
私が時間に経過に対する恐怖を乗り越えたのは、「時間が経つと、自分の持つ可能性は少なくなっていくかもしれないけれど、もしかしたら新しいことに出会うかもしれない。そして時間が経っても変わらないものもある」と考えるようになったからです。その時の気持ちを、今回の作品に表しました。
例えば、虎というのは、中国では何年間も変わらないもの、というものの象徴とされています。

——— このIn the Distant Fields and Smokey Woodsに出てくる虎は、本物ですか?*3

ウェイ これは遠くからみると本物の虎に見えるかもしれないけど、本当は彫刻です。そして虎の上にいる人間も実はは作り物です。

——— よく見ると足は三本しかないし、上にいる人間の身体も不完全ですね。

ウェイ 一見、本物の虎と人間を描いたかのように見えるけど、実は偽物なんです。

——— 虎は普遍なものの象徴という意味もあって作品に登場しているのですね。

ウェイ それだけではなくて、僕は虎と人間はすごく良く似ていると思う。すごく強そうで、万能だと思われているけど、実は弱いところが。

——— では、色々な側面や解釈の仕方があるものが、作品に登場しているのですね。

ウェイ はい。だから、作品一つ一つを言葉で説明する事は不可能です。特定な物語があるわけではなく、色々な解釈が出来る作品だから。

——— 例えばPapaIも透明な人間の様な存在が森を歩いていますね。*4

ウェイ これも足がなくて、身体は透明で、人間かもしれないし単なる彫刻かもしれない。作品の中のあらゆる要素をヒントに、どんな物語も解釈することが出来ます。

——— 子供の時の恐怖を今思い出して、作品に投影しているとのことですが、あなたは普段感情的な方ですか?

ウェイ 僕の普段の生活での感情はとてもフラット。喜怒哀楽がほとんどない。
でもキャンバスを前にするとすごく情熱的になります。大体、思考よりも手、感覚で絵を描いていると言えますね。

interview Octover, 2009

  • Interview by Tomio Koyama Gallery
  • Photo / Kei Okano:installation view
  • Ikuhiro Watanabe :works
Exhibition Data
ウェイ・ジャ 展 In the Distant Fields and Smoky Woods
2009.10.10 - 10.31
小山登美夫ギャラリー東京 7F
  • インタビュー 参照画像