Artist Interviews

ヴァルダ・カイウ゛ァーノ インタビュー  2011年

ヴァルダ・カイヴァーノ インタビュー  2011 Untitled, 2009 © Varda Caivano

「時間をかけて集中すること」:ヴァルダ・カイヴァーノ インタビュー

以下のインタビューは、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(Royal College of Art)のウェブサイト(http://www.fuel.rca.ac.uk/) に掲載されたものを日本語訳したものです。

RCA(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)の卒業生Mimei Thompsonが、同じく同校の卒業生であるヴァルダ・カイヴァーノに、彼女の卒業後の制作、生活について質問した。
  

——— 学生からプロの作家へのトランジションはいかがでしたか。

カイヴァーノ 修士論文に取り組んでいる時というのは体系があります。それは自由を許すものではありますが、それでもなお体系です。学校の外に出ると、自分自身の体系をつくらなければなりません。つまり自分自身のことを知り、また何が自分にとって良いのかを知る必要があります。私の場合は取扱いをしてくれるギャラリーがあったので良かったのです。最初の頃に大変だったのは、私は家族が近くにいなかったので、RCAの文脈がなくスタジオでずっと制作をするのは孤独だったということです。でも一度外に出ると学ぶことがたくさんあります。どのように制作をやっていくか、イメージの複写のこと、一年のスケジュールをどう管理していくか、またあらゆるアトリエ管理のこと。これらは全て新しいことでした。

——— ロンドンはもう故郷のようですか?

カイヴァーノ そうですね、もう随分長くいますから。作品もここで発展させてきましたし。またパートナーやとても良い友人、同僚ともロンドンで出会いました。ですので今となっては故郷のようなものです。

——— 今教えていらっしゃいますか?

カイヴァーノ はい、RCAと、時にはスレード(Slade School of Fine Art)で講師(visiting artist)として教えています。とても楽しんでいます。他の人の役に立っていると思える面白い経験です。私はロンドン出身ではありませんから、海外から来た学生の経験を理解できます。彼らの気持ちがよく分かるのです。

——— ペインターとして、あなたの制作はとてもプライベートなように思えます。いかがでしょう?

カイヴァーノ 個人的な制作、といった方がいいでしょう。作品とはあるナラティブ、ある種の会話があります。時にはアトリエ自体が、ものがその中でつくられ、リサイクルされる頭のように思えます。

——— ペインティングは他の表現形式と違うように考えられていると思いますか?

カイヴァーノ ペインティングにはとても長い伝統があります。ですのでペインティングを制作するということは、ある意味、その伝統と対話をするということです。ペインティングでは素材との関係がとても重要で、他の形式よりも文字から離れたところにあります。つまり言葉で言い換えるのがより難しいということです。音楽もそうであるように、乖離のようなものを生じさせるのです。

——— 展覧会に向けてまとまった作品を制作しますか?それとも常に続いているプロセスなのでしょうか?

カイヴァーノ 私にとって作品とは個々のペインティングということではありません。それは作品をつくるプロセスであり、ペインティングを描くという行為そのものです。通常は一度に多くのペインティングを同時進行で制作します。

——— ペインティングが完成するというのはどうやって分かるのですか?誰かからアドバイスをもらうことはありますか?

カイヴァーノ 私の場合、ペインティングが私を閉め出すような感覚をもつ瞬間があります。いつもは筆を入れることができるのですが、この瞬間には鍵がかかったような感覚なのです。ペインティングは独立性を得て、世界に出ます。締切がある時はスケジュールを調整し、アトリエに友人やパートナーを招きます。ですが、基本的には未完成の作品を人には見せません。

——— ギャラリーでの取扱いが始まった時の経験はどの様な感じでしたか?

カイヴァーノ 学内の展示の際にいくつかのギャラリーに興味をもってもらいました。それは素晴らしいことでしたが、どのギャラリーが一番自分にとって良いかというのは難しいことでした。Victoria Miroと一緒に仕事をすることに決めました。

——— ギャラリー(Victoria Miro Gallery)はどのようにあなたにアプローチしましたか?

カイヴァーノ ギャラリーから修士2年目の時にグループ展に誘われました。卒業したころから、取扱いが始まりました。

——— ネットーワークについてお聞きしたいです。外からみるとあなたは卒業後すぐに順調に進んでいるようにみえますが、なにかアドバイスはありますか?

カイヴァーノ 最も基本的なことは作品です。それが一番重要です。それは楽しいことでもあり、難しいことでもあります。制作のスペース、作品と一人で向き合うこと、そしてそこで起こること。私にとって重要なのはたくさんの作品をつくることです。それはペインティングを通して起こるプロセスです。楽器を演奏する人のように、その楽器のことを知り、何をどう演奏するか。できるだけたくさん演奏し、後からそれを聴いてみる。それ以外のことで大事なのはおそらく、作品を理解してくれる友人や同僚をみつけることでしょう。

——— 卒業してすぐに十分な収入を得ることができましたか?あるいは他のことで収入を得ていましたか?

カイヴァーノ RCAにいた間は奨学金をもらっていました。その後は幸運にも安い家賃のところの住むことができ、また作品が売れ始めました。始めて作品が売れたのは確か、「New Contemporaries」という展覧会でだったと思います。またVictoria Miro Galleryでの始めてのグループ展でも作品が売れ、その分である程度の期間生活することができました。その後は自然に物事が進んでいきました。

——— 現在ローマのレジデンシー、British School at Romeに滞在されています。他にレジデンシーの経験はありますか?

カイヴァーノ はい、コネチカットのSteep Rockという地方で。素晴らしかったです。

——— 作品やキャリアについてアドバイスをくれる特定の人はいますか?

カイヴァーノ はい、友人や家族、そして彼自身アーティストであるパートナーです。

——— ギャラリーとの関係はどうですか?自信のある、プロの顔をみせなければと思いますか?

カイヴァーノ 全く。コラボレーションという感じです。

——— 彼らとはリラックスできますか?

カイヴァーノ はい、できます。

——— このような関係について、何かアドバイスはありますか?

カイヴァーノ 重要なことは、ゆっくりと構えて制作に集中することです。それと作品を深く理解してくれる友人や同僚を見つけることです。

ヴァルダ・カイウ゛ァーノ interview , 2011

  • courtesy by Royal College of Art
Exhibition Data
ヴァルダ・カイウ゛ァーノ 展 The Inner Me
2009.09.11 - 10.17
小山登美夫ギャラリー京都

 ヴァルダ・カイウ゛ァーノ :Archives