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Artist Interviews
桑田卓郎 インタビュー 2009年
installation view at TKG Editions Kyoto, 2009
——— 今回の展示には大まかにわけて3種類あるように思えるのですが、いつも展覧会ではこの3種類を出すのですか?
桑田 出さないですね。一種類だけとか、ギャラリーによっても違いますが。大きめの作品は今回はじめて作ったものです。またこの石がはいっているものは、以前から少しやっていましたが、あまり大々的にはやっていなかったですね。
——— これは石を埋め込んでいるんですか?*1
桑田 そうです。まずボディをつくって、すこし固くなってきてから穴を彫って埋めるという方法ですね。
こっちは、土に先に石を混ぜてろくろをひいています。だからもっと自然な感じですね。ランダムに。どこから石が出てくるかわからない。失敗したのも結構ありますね。*2
——— 半分くらい?
桑田 そうですね。いいときは全部いける場合もあるんですけど。
——— 石を土に混ぜるというのは伝統的な手法ではないですよね?
桑田 違います。「廃棄物」みたいなものです(笑)。
——— 由来を教えてください。
桑田 ある時たまたま石が入っていてポコって出て来たんですよね。「これはいいな」と思って石を色々探してやってみました。
——— 石は道とかから拾ってくるんですか?
桑田 そうですね。その辺から・・・(笑)砂利みたいなものです。温度が高すぎると溶けちゃいますね。
——— 温度はちなみに何度くらいですか?
桑田 1240度くらいですね。それで20とか高くなるとダラっとなってしまいます。1000度超えてからの10度はすごく大きいですね。
——— 窯は電気を使っていらっしゃって、たまに薪のも使ってらっしゃると聞きました。
桑田 薪は一人で使えるものではないので、知り合いの方のところに行って少し入れさせてもらうくらいですね。寝ずに炊かないといけないので交代で。あまり僕はそこまで薪は使っていないですけど。
——— この「かいらぎ」という手法(焼成した時にできる釉薬のひび割れ)は伝統的な手法ではあるんだけど、こんなに分厚くしてはがれたりしているのは桑田さんの独特のやり方なんですよね?*3
桑田 そうです。長石釉、あるいは志野釉というものを使っています。これらは同じです。長石というものを砕いた原料です。
バケツとかにそれをいれて浸すんですけど、その浸す時間が長いとすごく吸うんですよね。あとは濃さの違いなんですけど、僕はかなりドロドロにしています。それぞれはがれ方も違っています。バッサリいってるものもあるし、ガバッといっているのもあるし。「これ何?大丈夫?」みたいな感じで話題のスパイスになってもらえれば・・・。
——— このカラフルな色は薬ですか?
桑田 スリップウェア、つまり化粧ですね。普通は白なんですけど、そこに顔料を加えて色をつけています。釉薬というのはそれに溶ける成分を加えたものでもっと光沢が出るんですけど、これはその前の状態です。僕はこの質感が好きなので。
——— それで陶器みたいって感じるけど、すべて磁器なんですよね?
桑田 そうです。
——— こっちは銀ですか?*4
桑田 はい、これも後で銀を焼き付けています。最初はボディが白なんですけど。形をまずつくって、糸みたいなものでシュッと切っています。それで固くなってから中をえぐる。
——— 今回は白磁の洗練されたフォルムのものと、カラフルでちょっとワイルドなものがありますが、方向性としてはいつも両方あるんですか?
桑田 そうですね。あっちは(白磁の方)より生活に近い感じで、またあれは型をメインに使ってつくっています。*5
——— 色が全部で7色ありますが、これ以外の色は?
桑田 色をつけているのは酸化金属なのですが、他の色はちょうどよい金属がないので・・・。あるもので混ぜて色をつくったりもしているんですけど、なかなか難しいです。これからはもっとやろうと思っています。
——— こういった色のスタイルを始めたのはどれくらい前ですか?
桑田 4年くらい前ですね。その前は普通にど渋いものとか白の繊細なものとかつくっていました。
——— 陶芸作家というのは従来、目指す道が「人間国宝」か「日展」くらいしかあまりない、というようなお話をうかがいました。桑田さんの世代の作家さんたちは現代アートとの境界をなくそうとしているんですか。
桑田 そうですね、そもそも陶芸というのは素材があって、焼いてみないと分からない。そういう偶然的なものにまかせるところがあると思うんですけど、それが面白いから自分の中でこもっちゃいがちなんですね。それでマニアックになりがちなんですけど、あ、僕も十分マニアックなんですけど(笑)、それをもっと広く、興味の無い人にとってもキャッチーで「何これ?」っていう感じにしたいなというのがあります。色々な理由で陶芸をやっているのに、これまであったものばかりつくっても面白くないし、楽しい方がいいかな、と。そうやってやっていたら同じようなことを目指していると思われる人たちと会って。アプローチは違いますけど向いている方向はけっこう似ているから、話したりできるようになってきました。
——— 桑田さんとか青木良太さんとかの世代がメインですか?それより少し上の世代は?
桑田 探せば結構いると思いますね。その時代ごとにいると思うんですけど。前の人たちがやろうとしていたのが僕たちにも伝わって、より広くなっているような気がします。これから僕たちの下の世代の間でもっと広がると思います。「陶芸をやっている」というと「壷」とか「ろくろ」みたいなイメージだと思うんですけど、それがもうちょっと普通になっていくんじゃないかなと思います。その辺でダンスをやってたりスケボーに乗ってる人がいる、みたいな感覚で「あ、陶芸やってるんだ」くらいの・・・。そうなったらいいなと思います。今はまだ陶芸をやっているというと「家がそういう感じなんですか」とか言われますね。
——— これまでの世代の陶芸家の方たちからのリアクションってどんな感じですか?
桑田 自分でも違う枠に行こうとしていた人たちは「いいじゃん!」って感じで面白がってくれるんですけど、ぱっとみて「うわっ」って感じで、適当にちゃらけてやっているんじゃないかってみられることもあります。またちゃんとやっているということを見てくれることすらない人もいます。こっちはきっちり素材の部分からやっているのに・・・。伝統的なものも知っていて、こういう新しいものもやっているということを分かってもらえないのは悔しいですね。でも理解してくれて「どんどんやれよ」って言ってくれる人もいます。鯉江良二さんとか巨匠の方でも・・・。彼自身変わったこともやっていて、そういう人が色々教えてくれて「これでいいんだ」と思えますね。
——— 桑田さんが師事した財満先生もそういう感じですか。
桑田 彼は焼き物が生活の一部で、材料を山に探しにいったり、そういうことも含めて楽しむ、という方です。今僕がこういうことやっていてもあたたかく見守って下さる感じで・・・。技術的なことは本当に細かく教えてもらいました。
——— 財満先生のもとで学んでから多治見市陶磁器意匠研究所に行かれたんですね。
桑田 はい。先生から「あんまり僕のところにいてもくせみたいなものがうつっちゃうからいいよ。技術的なことはもう十分学んだから、一人でやりなさい」と言われて、やっていたんですけど、もっと新しいことが知りたかったので、色々情報に飢えていて調べていたら「多治見が熱い」と思ったんです(笑)。作品をみたら感覚が近いと分かる作家さんがみんな意匠研をでていて・・・。
——— 真面目な感じかと思っていました。
桑田 真面目な感じですよ。そういう人ばかりじゃないですから。でも変わってる人もたまにいるんですよ。それでつながりが出来てきて。それで「イケヤン」のメンバーに会ったり。
——— 材料に関しては?
桑田 人によっては材料の種類が多すぎることを嫌う人もいるんですけど、僕はたくさんあればあるほどいいですね。まあ一つの材料でずっとやるっていうのも、それにしかできない良さがあると思うんですけど。いろいろ材料を探して、「この材料はどんなになるんだろう」っていうのをやっていたらいろいろな発見があります。材料を触っていないとだめですね。それが陶芸の魅力です。例えばどこかから来た有名なデザイナーが、この材料でつくろうっていうと、どうしても素材感がなくなっちゃうんですよね。既製品みたいになっちゃって・・・。まあ、面白いものもあるんですけど、僕はそれよりも土着的な、土臭い感じが好きです。
——— 素材に関しては日常生活の中からインスピレーションをうけるんですか?
桑田 そうですね。自分の知らないものとか、今はクラブとかたまに行ってDJが映像流していたら「なるほど・・・」とか思ったり(笑)。常に考えてますね、「ああ、あんなのありなんだ。そこでそうやるんだったら、俺だったらこの材料でこう・・・」とか。あとは人がみんな「いいね」というものをいいと思えなかった場合に、なぜ人はいいと思うのかを考えたりします。これはデザイナーの要素も含んでいるのかもしれないですね。
——— この白磁のシリーズはデザインの要素を十分に含んでいると思います。*6
桑田 そうですね、生活が明るく、楽しくなればいいなと思っています。デザインものって好きなものもあるんですけど、味がなくって飽きちゃうのが多いですね。素材感があればいいなと思います。
——— まさにプロダクトデザインと手仕事の間みたいな感じがしますね。ちなみにこのシリーズ、外側がマットなので内側はツルツルしているのはなぜですか?
桑田 基本的には内側は汚れが着きやすいからですね。あとは質感の違いが面白いと思って。テーブルウェア大賞をいただいたときはその辺にも評価をいただきました。色の部分はろくろを回してつけています。この層になっているのが面白いっていって下さる方もいます。その辺が素材感ですね。日本だけっていいますね、食器を触るのは。海外は食器を手にあまり持たないから。
——— 今後の目標は?
桑田 海外でやってみたいですね。もっと知らないところで・・・。海外の人の感覚とかも知りたいから、住みたいんですよね。住んだらその人たちが感じていることも、価値観も分かると思うんです。そうするとこの人たちはこういうものがいいと思うんじゃないかな、と感覚的に分かるじゃないですか。それで「こんなのどう?」と見せてみたいです。
桑田卓郎 interview September, 2009
- Interview by Tomio Koyama Gallery
- インタビュー 参照画像
- installtion view at TKG Editions Kyoto, 2009
©Takuro Kuwata
- installtion view at TKG Editions Kyoto, 2009
©Takuro Kuwata
- installtion view at TKG Editions Kyoto, 2009
©Takuro Kuwata
- *1 石はぜ壷(ピンク), 2009
磁土 porcelain
φ28.0 x h 33.0cm
©Takuro Kuwata
- *2 石はぜ壷(赤), 2009
磁土 porcelain
φ26.0 x h25.0 cm
©Takuro Kuwata
- *3 茶碗(青), 2009
磁土 porcelain
φ15.0 x h10.0 cm
©Takuro Kuwata
- *4 銀彩箱 silver decorated box, 2009
磁土 Porcelain
11.5 x 12.0 x h10.0 cm
©Takuro Kuwata
- *5 湯飲み teacup, 2009
磁土 Porcelain
φ8.0 x h8.0 cm (each)
©Takuro Kuwata
- installtion view at TKG Editions Kyoto, 2009
©Takuro Kuwata
- *6 L 3点:徳利 sake vessel, 2009 / R 3点 :ぐい呑 sake cup, 2009
徳利 sake vessel, 2009
磁土 Porcelain
φ7.5 x h15.0 cm
ぐい呑 sake cup, 2009
磁土 Porcelain
φ4.5 x h4.7 cm
©Takuro Kuwata
- installtion view at TKG Editions Kyoto, 2009
©Takuro Kuwata
- installtion view at TKG Editions Kyoto, 2009
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- Interview










