Artist Interviews

大竹利絵子 インタビュー  2009年

大竹利絵子 アーティストトーク 2009 installation view from [ Dream like ] at Tomio Koyama Gallery Kyoto, 2009

► このインタビューは、オープニング(11月26日)当日、ギャラリーで行われた[アーティスト・トーク]の模様を編集したものです。

——— DMの写真をみてこの作品って、こんなに大きかったのか!と思ったのですが*1、写真のはこっちだったのですね *2

大竹 大きさについては存在と向き合うというか、どちらも本当なんじゃないかというのがありまして、展示する場所との関係によっても変化するものだと思います。

——— (映像ルーム *2 に入る)別世界に入った、という感覚がありますね。

大竹 もともと映像を映す部屋として暗い部屋あるということで、今回そこを使ってみようと思いました。部屋が暗くて狭いので、見る人と作品との距離がより密になるのかなという感想です。作品によって空間を把握していくというか…。

——— こういう立像はずっとあるイメージなんですか?*3

大竹 こういった洋服を着たものですか?学生のころはありましたが、最近はなかったですね。タイトルは「girl」と「doll」です。大きい方の対も同じです。

——— それにしても大きいですね。なぜここまで?

大竹 作品自体の大きさと、作品が内包する大きさがあると思います。それらとの距離のとり方によって、作品に強度を持たせることができるのではないかと考えました。

——— 彫刻は平面と違って360度から見れると思いますが、作家さんとしてはこれが正面だというのはあるんでしょうか。

大竹 360度どこから見ても良いように、そこは意識しています。色んな方向から見ていただければと思います。
 あと、体で触る、という感覚が立体作品にはありますよね。実際は触っていないんだけれど、触覚的に感じるというか。

——— 具体的なモデルはいるんですか?

大竹 いません。顔はつくりながら決まってくる感じですね。なので例えばこの大きい作品も7回くらい色んな顔に変わって、やっとこの顔になりました。

——— 平面だったら気に入らなかったら消したりできると思いますが、どうやって変えるのですか?

大竹 だんだん小さくなっていきます(笑)。全体のバランスを見ながら彫っていくので、彫刻だけというよりは、周りの空気のようなものも含めて見ていきます。切って足す、ということもできるので木彫はわりと自由にかたちをつくることができます。

——— ドローイングはするんですか?

大竹 細かくはしなくて、全体のイメージをつかむために描いてみたりします。
木彫の場合、もともと素材として木があるわけです。
そこから顔をつくる場合、目と鼻と口ができればすぐに顔として見れてしまうというのは逆に怖いですね。それは自分で気をつけているところです。存在してしまっている怖さ、と言いますか。

——— 写真でみるよりも荒っぽいタッチなのが印象に残りました。写真でみると繊細さを感じていましたが、実物をみると大胆さも感じます。

大竹 そうですね。彫るときのリズムを大切にしています。

——— きれいにしちゃうと想像するところがなくなってしまうんでしょうか。

大竹 荒くても「きた」っていう時がありますので、それを大事にしています。

——— 「きた」という時があるんですね。

大竹 そうなんです。実はそれが今回はなかなかこなくて・・・。たとえばこの作品は体と頭部のバランスが決まらなくて *4。自分のなかでOKを出してしまえばつくってしまう事はできるんですけれども、「きた」という状態になるまでぎりぎりまでねばっていたいというか。作品が私から離れた時というか、自立した時の「きた」っていう感覚ですね。

——— 人間だから活き活きするように見えてくるんですね。魂をもってくるというか。

大竹 そうですね。それもあると思いますが、モチーフが人間ではなくても、彫刻としての存在を意識していれば、何をつくっても同じように接することができると思います。

——— こちらは「doll」と「girl」、人形と人間なんですね。

大竹 人形と人間なんですが、同時にそれが彫刻であるというところに興味があります。

——— 姿勢に意味はありますか。

大竹 あまり動きはつけないことが多いですね。何かをしているポーズだと、そっちが強くなっちゃうので。

——— それよりは「永遠性」という感じのものをつくっていらっしゃるんですか。

大竹 そうですね。あまり言い切ってしまいたくないというか。

——— 以前の作品「ピエロ」もそうですが、人物の姿勢がすごくいいものがありますね。

大竹 あの作品は、直接的なきっかけではないのですが、溝口健二の映画で「お遊さま」というのがあって、登場人物が正座をしているシーンが、なぜか強く印象に残りました。そういった日常の中で見たり感じたりしたことが、ふいに作品に出てくるということはあります。

——— あと猫背の人もいますが、あれはスカートを持っているんですね。何か物語はあるんですか。*5

大竹 具体的な物語はないですけど、やっぱり子供の時に絵本で見たお姫様のイメージとかがあったりしますね。なぜか・・・(笑)。あとは、意味というよりも、彫刻の佇まいというか、構造的なことを意識していることが多いです。

——— 半年以上前に制作の途中でスペースをご覧になりました。今回の制作と出展作、それとスペースにどういう関係があるでしょうか?

大竹 この建物の外観を見てまずびっくりして(笑)、また中に入ったらイメージしていたのと違う空間がひろがっていました。ひとつひとつ違うスペースがつながっているといるのが印象的でした。ひとつのものにつながっていっているというところで、「夢」というのも自由にいろんな場所に行き来できたり、そういう部分が夢でも、また日常でもあるんじゃないか、と考えました。

——— そういうところからタイトルもでてきて、通路の作品がその「夢みたいな」というタイトルなんですね。*6

大竹 はい、この作品が展示全体をつなげるような役割をしています。
こっちの部屋は鳥があったり、女の人があったりするんですけど、微妙に重なっている部分とずれている部分があり、またイメージがだぶっていったりずれていったりってしている中、この作品がそれをつなげているんじゃないかな、と後から思ったんですけど。この建物の構造が作品を決めて行くのに重要でした。

——— 鳥はやっぱり特別な存在なんですか?

大竹 鳥っていうのは空を見上げれば飛んでいて身近なんだけれども、遠いっていう感じがします。これは鷹です *7

——— そしていつも人と一緒になっている作品が多いですね。

大竹 鳥だけっていうのもつくっているんですけれども、まだできていません。

——— これは一本の木ですか?

大竹 はい、内側をくりぬくために切っていますが、一本の木です。 幅をもって見れるような形態を意識しています。あの脚の女の子とか・・・。*8 かたちを意味で説明するんじゃなくって、かたちから作品の世界を広げていけたら、と思います。何かをつくっていて他の作品のプランが浮かぶことも割とあります。

——— 作品によって木の種類が違うっているのはどういう意味があるですか。

大竹 木は材木屋さんで手に入るもので気になったものを買うんですけれども、それを見てかたちを選ぶっていうのはあります。また彫り方が変わってくるというか、彫るリズムが変わってくるというのはありますね。例えばこの榧 *7 は固いので割とざっくりと面がでるんですけれど、あっちの作品*6 は桂で柔らかいので手の入れ方を変えないと形になってこない、とか・・・接し方が木によって変わってきますね。

——— 小さい作品と大きい作品で使う道具は変わるんですか? 何種類くらいありますか?

大竹 いっぱい使います。何十本と使います。いろんなかたちをつくるためにそれくらい必要なんですけれども、人からはよく丸のみと平のみ二本で足りるんじゃないか、といわれます(笑)。*9

——— ずっと手彫りなんですか?

大竹 最初はチェーンソーで量を落としていきます。それからは手で彫っていく感覚を大事にしたいので、あまり電動工具とかは使いません。彫るリズムが大事なので・・・。

——— 制作にどれくらいかかるんですか?

大竹 いろんなものを同時進行しているのですが、一体だったら大きい作品で三ヶ月くらいですかね。

大竹利絵子 interview November, 2009

  • Interview by Tomio Koyama Gallery
Exhibition Data
大竹利絵子 展 夢みたいな
2009.11.26 - 12.26
小山登美夫ギャラリー京都
  • インタビュー 参照画像

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