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Artist Interviews
福永大介 「4人のペインティング」 インタビュー 2010年
► このインタビューは、「4人のペインティング」展のレセプション(1月14日)当日、ギャラリーで行われたアーティスト・トークの模様を編集したものです。
——— 作品についてお話を聞かせて下さい。
福永 まず、僕の描くものは現実に自分が見て、強く印象に残ったものです。全くのイメージというか、空想のようなものは出てきません。ただ、実際に見たものといっても、こういう庭とか家が実在するわけではありません *1。サーフボードとか、よく分からないベニヤの合板とか、そういうものが普段自分の中でかなり強く印象に残っているのです。
あと全体的なもわっとした、暗い、殺伐とした風景のような、そういう妙だと感じる雰囲気も絵の要素としてひとつあります。あとモチーフや、光、そういうものを組み合わせて一枚の絵が作られているという感じです。
二年前くらいから、わりと一つに定まったモチーフで、モップというのが出て来ています *2。モップって普段なかなか見ていないと思いますが、街中にすごくいっぱいあるんですよ。それが強く印象に残っていて、もう街を歩いているだけで、モップっていうものが、どんどん発見されていくんですよね。モップが置いてあるところも絶対分かってきます。
最近タイヤも描いているのですが、タイヤのあるところもよく分かって来ました。それは事象学というのとは関係ないと思うんですけど、僕の中ではタイヤとかモップが置かれている様が、そこだけ時間のズレている、抜け落ちている様な印象を感じてて、それがとてもドラマティックに思えて描いています。
この作品は「ロッカールーム」というタイトルなのですが *2、スーパーでトイレなんかに行った時に裏を通っていて、そこで垣間見たロッカールームに入っている、くしゃくしゃしたモップを描いています。こっちの作品は建築中のビルの、まだ電気工事もしていない地下室には掃除用具がたくさんあるんですけど、そういう裏側を描いています *3。
——— 最初に写真を撮って、それを元に描くということはあるんですか?
福永 部分的にはあります。気に入ったモップを写真に撮って、それを見てドローイングをしたり、見ながら描いたりもします。写真全部をそのまま写すというのはありません。色んな要素や印象を持って来て、ひとつの絵にしています。
——— 昨年の小山登美夫ギャラリーの東京で行った個展の時とは *4、少し色合いが違うような印象を受けますが、それについてはご自身ではどうですか?
福永 そうですよね、前はけっこうえぐかったと思います。それは造形的な問題になってくるのですが、あんまりガシガシと描きたくないというか、そこまでのめり込めないというか・・・。ちょっとわざとらしく感じるようになったんです。
そうすると今度は、完成というのがかなり曖昧になってきて、絵を描くのに時間がかかって、最近困っています。絵の終わり、完成の時っていうのは何なんだろうなと、絵を描いたり作品を作る人は皆考えると思います。この四角いスクエアの絵は *1、一年半以上かかっているんですよ。最初は一ヶ月くらい描いて完成かなと思ったのですが、ちょっと寝かせておいて、それから一年くらい経ってギャラリーに出そうと思って広げてみたらぜんぜんダメだみたいな感じで、また続けて描きました。何というか、作品と自分の軸があるんですよね。
——— 作品の軸っていうのは、こうありたいっていう作品の理想があって、あと自分がいて、ということですか?
福永 今はこういう方向に持っていきたいみたいな自分がいて、あと作品の実際の完成度があって。それが、総合的に積み重なっていって完成していくと思のですが。
——— 時と場合によって、その軸がずれていく?
福永 そうですね、自分の価値観がずれていくんですよね。えぐいというか、攻めた感じが良いと思う時と、さらっとしたものが良いと思う時とがあって。実際の作品は、動かしていってどんどん変わっていくのですが。そこで良いと思った最良の出会いというか、タイミングですね。そのタイミングが来た時に、完成になるんだと思います。結局は、作品によるんですけど。
——— モップは人の象徴のようなものなんですか?
福永 モップというのは、人っぽい感じに見えたというか、そういう存在感が見えているというのはあります。
——— それは形からくるのですか、それとも役割的なものですか?
福永 形ですね。最初見た時、モップが色んなところにささっていて、その存在感を描いていくうちに髪の毛っぽい感じになっていったり、顔に見えてきてしまいました。ビルの片隅にたたずむ人みたいな感じもします。
——— どうしてもモップのあるところに目がいってしまうというか、モップの位置を把握してしまうとおっしゃっていたのですが、(モップが)好きということですか? その気持ちの行き方というのは、ネガティブでかわいそうということなのか、汚れていつも大変だねという感じなのか、それとも「あ、いたいた」という安心感のような感じですか?
福永 ああ、こんな所にもいたんだねみたいな。山でキノコを発見しているような感じですかね。かわいそうとか、ネガティブなイメージはないです。触りたくはないですが、でもその存在がけっこう良い。
——— 買ってしまうというのはないんですか?
福永 ないですね。街中に何気なく置いてある状況とかがやっぱり良いので。アトリエに置いておくということもありません。
福永大介 interview January, 2010
- Interview by Tomio Koyama Gallery
- インタビュー 参照画像
- *1 PLAY, 2009
oil on canvas
194.0 x 194.0 cm
©Daisuke Fukunaga
- *2 ロッカールーム Locker room, 2009
oil on canvas
194.0 x 130.5 cm
©Daisuke Fukunaga
- *3 underground (にらめっこ), 2009
oil on canvas
167.5 x 80.0 cm
©Daisuke Fukunaga
- *4 installation view from [Local Emotion] at Tomio Koyama Gallery, 2008
©Daisuke Fukunaga
- *1 PLAY, 2009



![*4 installation view from [Local Emotion] at Tomio Koyama Gallery, 2008](http://www.tomiokoyamagallery.com/index2/wp-content/uploads/4df-in-08_111-230x129.jpg)