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Artist Interviews
伊藤 彩 インタビュー 2011年
installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011
► このインタビューは、オープニング(6月11日)当日、ギャラリーで行われたアーティスト・トークの模様を編集したものです。
——— 伊藤彩さんは2009年、京都市立芸術大学美術学部油画専攻卒業。同大学大学院美術研究科絵画専攻を今年3月に卒業されました。東京では2回目の個展になります。1回目はArt Jam Contemporaryで”生まれつきJ”を開催しました。 そのあと、TKG エディションズ 京都で個展をし、今回小山登美夫ギャラリー6Fでの個展”穏やかに臭う”を開催する運びになりました。
それでは、作品の制作についてお話をお伺いします。
アトリエは和歌山にあり、約6畳のスペースの中で作品の構成を考えるということですが、作成方法についてお聞かせ下さい。
伊藤 6畳くらいの部屋を散らかす感じで布や紙、はさみで縁取って切りぬいたドローイングや、立体をいっぱい吊るしたり、飾ったりして写真を撮って行きます。同じ空間でも違う角度から、沢山撮ります。それらの写真をもとに、絵画作品を仕上げて行きます。写真から省略される物もあったり、シルエットを利用して別の物に置き換えたりしていきます。
——— なぜ、こういった制作方法をとられるようになったのですか?
伊藤 写真を見て描くとあえてそのままには描かず、ドローイングを見て大きなタブローに描くとそのまま描こうとする癖があります。写真を見て描くとオリジナリティーに欠け、ドローイングをそのままコピーして描こうとすると、構図にバラエティーがなくなり固くなってしまいます。どうしたら一番気持ちよく大きなタブローを描けるかを、考えていました。大学の先生たちにヒントをいただきつつ、構図の改善、オリジナリティーを求めた上で生まれた方法です。
この方法で使用する写真は、ドローイングやタブローの下絵と同じように使用するため、私は「フォトドローイング」と呼んでいます。「フォトドローイング」のためのキャラクターなどの落書きを描き、変な立体を作っていくなかで、それらのキャラクターが、私たちと同じ現実世界で動いたり、住んでいたら良いのに、と思いました。そして、カメラで撮る事によって同じ世界のどこかにいるんじゃないかな、と思っています。写真だと余計なものが写っていたり、カメラをラフに構えて撮ると思いがけない構図が撮れていたりするので、発見があって楽しいです。それぞれのキャラクターの醸し出す空気感みたいなものが撮れた時はうれしいです。
——— キャラクターそれぞれに名前はついているのですか?
伊藤 今、一人だけついています。ピンクの子がエリーと言います<穏やかに臭う> * 1 。他の子はまだ名前を付けていないです。
——— 「フォトドローイング」で創りだした画面の中から試行錯誤はあるのですか?
伊藤 はい、あります。大まかな構図はあまり変化しませんが、色を思いっきり変えたり奥行きの前後を変えたりします。
——— 「これは出来た」と思うポイントなどはありますか?
伊藤 それぞれ、作成のやり方が違います。<どこそこのだれだれ> * 2 と<エリーです> * 3 は写真に近い形で割と迷いなくできました。<私はだれでしょう> * 4 は、今までと違う新しい発見が出来た絵で、まず主役の顔が隠れているということと、下方を黒でストンと空間を落とせたということがとても、新鮮で新しい発見が出来ました。
<穏やかに臭う> * 1 は、以前描いた<ゾンビも恋をする> * 5 と同じような描き方で、タイトルを重要にしてその場の空気感みたいなものを表現出来たらいいなと思い、じっくりと描き上げました。ドローイングは、額縁も自分で手作りしました。最近、縁がきになっていたので、額縁を作る事で、縁について考える事が出来ました。平面作品と平行して立体作品を制作する事が多いのですが、今回立体作品を作る代わりに額縁を作りました。
——— 絵の元になる素材は全て自身で手にいれてこられるのですか?
伊藤 はい。日々の生活のなかで手に入れます。旅行さきで見つけたり、蔵やおばあちゃんの部屋とか探って見つけます。ドローイングも素材にします。
——— (観客の方からの質問)
インスタレーションをやったりすることは、こういった「フォトドローイング」をすることと関係性はありますか?
伊藤 いまのところ関係性はあまりないです。見る人にとって初めて会ったキャラクターなのに、同じ展示空間で違う絵の中や場所にそのキャラクターの切り抜きや立体作品が置いてあったりすると、初めって会ったのにもう二度目三度目会った事のあるような親しみを感じてもらえたらいいなと思っています。「へー、エリーって言うんだー」と言っていた人が「あ、あのエリーちゃんココにもいるよ!」みたいな感じです。(「フォトドローイング」の初めての作品<ここで会うとは奇遇ですね>が、タイトルにもその意図が隠されています。)
——— 例えば、水色の服を着た足を広げた男の子<どこそこのだれだれ> * 2 が、<私はだれでしょう> * 4 の中の左上に出てくる男の子と繋がったりと、そういったようにキャラクターが動いて出てくるということですね。ドローイングのことを聞かせて下さい。
伊藤 私が思うドローイングは<守衛さん> * 6 なのですが、<魚> * 7 と<ねこ> * 8 はフォトドローイングを見ながら描きました。これらはペインティングに近いかもしれません。ドローイングで描いたものをそのまま真似してタブローを制作する方法を、この「フォトドローイング」を使う前はしていましたが、それは私にとってリアリティがなかったので使わなくなり、自分の撮った写真を見て描くという行為が私には合っていたので、ドローイングと写真を融合させた方法をとり始めました。守衛さんを描いていて改めて感じたのですが、人に見せるものとして描くドローイングは難しいです。
——— 影がとてもおもしろいですが、影は写真にしたときは写っているのですか?
伊藤 ライトの具合で写っているのもあれば、写っていないものもあります。写っていない場合は何枚も撮影したフォトドローイングの中から似たような構図で影が映っているのを見つけ、絵の中で合成します。<穏やかに臭う> * 1 は本当は、写っていませんでした。現実世界には影はあり、ドローイングにはなく、切り取って立体におこしたら表れます。また、ライティングの仕方でわざと影をはっきりと出し、変な影が出る位置を探して写真を撮ります。影を書くのが好きです。
——— やはり、立体とはいつもつながり、リアルな空間で写真をとったものが描きやすいということでしょうか?
伊藤 やはり、その方が描きやすいです。私にとって、なにも無いものからつくっていく事は難しいです。自分がつくったキャラクターや買ってきた素材を組み合わせて自分につながる空間をつくる。そこからの方が私にはぴったりくるんです。写真は思いもよらぬものが撮れたりするからおもしろいです。
伊藤 彩 interview June, 2011
- Interview by Tomio Koyama Gallery
- Photo / Kei Okano:installation view
- インタビュー 参照画像
- installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011
©Aya Ito
- *1 穏やかに臭う / Smelling mildly, 2011
oil,acrylic,color pastel,crayon on canvas
137.5 x 200.0 cm
©Aya Ito
- installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011
©Aya Ito
- *2 どこそこのだれだれ / Someone from somewhere, 2011
oil on canvas
91.0 x 117.0 cm
©Aya Ito
- *3 エリーです / I'm Ellie, 2011
oil,water color,paperclay,glue on canvas
40.0 x 30.5 cm
©Aya Ito
- installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011
©Aya Ito
- *4 私はだれでしょう / Who am I ?, 2011
oil on canvas
91.0 x 116.5 cm
©Aya Ito
- *5 ゾンビも恋をする / Even a zombi falls in love, 2010
oil on canvas
180.3 x 220.6 cm
©Aya Ito
- installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011
©Aya Ito
- *6 守衛さん / The guard, 2011
color pencil on paper
39.5 x 36.0 cm
62.7 x 59.3 cm (framed)
©Aya Ito
- *7 魚 / fish, 2011
oil,acrylic on fabric
37.5 x 56.0 cm
75.5 x 57.5 x 3.3 cm(framed)
©Aya Ito
- *8 ねこ / Cat, 2011
acrylic,water color,color pencil,ink on fabric 45.0 x 38.0 cm
75.5 x 57.5 x 3.3 cm(framed)
©Aya Ito
- installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011
©Aya Ito
- installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011
伊藤 彩 :Archives
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![installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011](http://www.tomiokoyamagallery.com/index2/wp-content/uploads/ai-insta-11-01-2-230x153.jpg)

![installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011](http://www.tomiokoyamagallery.com/index2/wp-content/uploads/ai-insta-11-10-230x153.jpg)


![installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011](http://www.tomiokoyamagallery.com/index2/wp-content/uploads/ai-insta-11-07-230x153.jpg)


![installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011](http://www.tomiokoyamagallery.com/index2/wp-content/uploads/ai-insta-11-08-230x153.jpg)



![installation view from [ Smelling Mildly ] at Tomio Koyama Gallery, 2011](http://www.tomiokoyamagallery.com/index2/wp-content/uploads/ai-insta-11-11-230x153.jpg)