About the Exhibition

things on strings 展

クリスティーネ・クレメンスン、トム・フリードマン、今村遼佑、落合多武、リッキー・スワロー、王雅慧、ジェニー・ワトソン
2011年7月23日(土) - 9月3日(土)
小山登美夫ギャラリー東京 7F
オープニングレセプション 7月23日(土) 6:00 - 8:00pm
*夏季休廊:8月7日(日) – 22日(月)
  • 「things on strings」展 2011  クリスティーネ・クレメンスン、トム・フリードマン、今村遼佑、落合多武、リッキー・スワロー、王雅慧、ジェニー・ワトソン
  • Standing half vessel(gold), 2010 ©Ricky Swallow

» 作品紹介

今村遼佑は、空間に小さな「装置」を設置することで、観る者を包む環境すべてを作品化します。しかしその「装置」やそれによって引き起こされる現象は、極限までミニマライズされているため、私たち人間の知覚の感度は自然と研ぎ澄まされていきます。次第に今まで見えなかったもの、あるいは実際には可視的ではないはずのものさえ見え始め、ニュートラルな空間として用意されたはずのホワイトキューブは、場の力とでも呼ぶべき力を持ちはじめます。作家が空間に設置する「装置」は、人間の世界の捉え方を変える「装置」かも知れません。
落合多武は、しばしば文学テキストや映画タイトルを変え、作品に引用します。それらの言葉の断片は、ドローイング、ペインティング、彫刻、ビデオ、インタラクティブなパフォーマンスなど、様々な表現方法によって作品の一部となり、連想ゲームのように観る者のイメージを膨らませます。自由な筆致や軽やかな色彩は、私たちを緊張から解きほぐし、作家と同様に作品の世界に遊ぶことを許してくれます。
クリスティーネ・クリメンスンは自身を取り巻く日常への反応として作品を制作します。作品に取り上げられるのは、“もの”というよりもむしろ、紐状の紙などの他愛もない“素材”です。ある素材を作品に用いるとき、彼女はそれが展示される空間に細心の注意を払いながら、そのものの一般的な使われ方ではなく、それが持つ本質的な性質に迫っていきます。しかしここで特筆すべきなのは、表現が口語的な軽さも持ち合わせていることです。彼女の素材への観察眼は鋭く、観る者をはっとさせます。
リッキー・スワローは様々なメディアを横断した制作を行い、扱う素材によって全く異なる側面を見せてくれます。木彫やペインティングでは、主に具象的なイメージを扱い、特に布などの柔らかなモチーフを木彫で表現した一連の作品は、彫刻におけるリアリズムということの真髄に迫ります。今回はカードボードでつくったカップや彫刻をブロンズにキャストしました。
トム・フリードマンは、作品のモチーフに度々自分自身を登場させてきました。作品は繊細で色とりどりの美しい表情を見せますが、実はそれらは鉛筆、ストロー、バブルガム、木切れ、髪の毛といった日常にありふれた物を用いて制作されています。彼の制作活動において、自分自身の存在をも含めた“モノの物質性”は、大きなトピックとなっているのです。
ジェニー・ワトソンは、キャンバスの代わりに様々な地模様のある布を用います。作品に頻繁に登場する馬や猫は、幼少期を過ごしたオーストラリアの郊外で、身近に接してきたものです。それらは、一見かわいらしく見えますが、キャンバスに用いる布自体が既に情報を備えているがゆえに、より自由に描くことができるようになったと言い、彼女のそのある種の貪欲さが、作品に記憶の美しさや儚さとともに、現在の欲望や残酷さを共存させていると思います。
台湾出身の女性作家、王雅慧(ワン・ヤホイ)は、ビデオインスタレーションや写真を表現の手法に用います。彼女の作品世界を支配するのは、静寂と、どこかせつない雰囲気です。王は、以前地方での生活を経験した時から、中国の概念である“天人合一(人と自然は繋がっているという考え方)”を意識するようになったといいます。作品が妙にノスタルジックにならず、清潔な気品が漂うのは、作家にこうした背景があるからなのです。

» 展覧会について

今回は国内外の7人のアーティストの展示をします。日本、台湾、アメリカ、オーストラリア、デンマークからのアーティスト達です。[things on strings]というのは、糸の上を歩いているような作品たち、というような意味で、何かと何かの境界線の際で制作しているアーティストたちの作品を集めてみました。
ひとつの空間に同時に二つの空間を感じさせる今村遼佑、頭のなかのプランと現実とのギャップのなかを楽しんでいく落合多武、物質や空間のいくつかの側面を意識的に使うクリスティーネ・クリメンスン、フラジャイルな素材による形を永遠の素材に置き換えるリッキー・スワロー、自分の作品を極小にしてコレクションするトム・フリードマン、記憶と現在を行き来するジェニー・ワトソン、部屋から集めたほこりで身近な風景やオブジェを彫刻し、記録する王雅慧(ワン・ヤホイ)。アプローチは様々ですが、何かぎりぎりの際で、出てきたものを作品にしていく様は、とても魅力的だと思います。この機会にぜひ、ご高覧ください。

» 作家プロフィール

今村遼佑は1982年京都生まれ。2007年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。主な展覧会には、『ながめるとみつめるのあいだ』(2011年、studio 90、京都)があります。また、2011年2月には資生堂ギャラリー(東京)にて個展『ひるのまをながめる』を開催し、第5回shiseido art egg 賞を受賞しました。今年開催される、横浜トリエンナーレ2011に参加します。
落合多武は1967年、神奈川生まれ。1990年和光大学卒業後に渡米、93年ニュ−ヨーク大学芸術学部大学院修了。現在もニューヨークを拠点に活動を行います。主な展覧会に、『MOT Annual フィクション?—絵画が開く世界』(2002年、東京都現代美術館)、『ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開』(キュレーション:松井みどり、2009年、原美術館、東京、その後世界各国に巡回)などがあり、今年開催される横浜トリエンナーレ2011に参加。
王雅慧は1973年台湾生まれ。2004年Taipei National University of Artsにて美術修士号取得。2002 年Taipei Arts Award受賞。活動の拠点を台湾に置きます。2002年と10年に台湾ビエンナーレ、2010年には六本木アートナイトに参加し、主な展示に『The Tropical Work: Snowman』(2008年、National Taiwan Museum of Fine Arts、台湾)、『A day and a new day』(2011年、国立中央大学アートセンター、台湾)などがあります。
ジェニー・ワトソンは1951年メルボルン生まれ。ヴィクトリア・アート・スクール・ナショナル・ギャラリーで絵画を専攻し、ヴィクトリア州立大学で教育学を学びました。20代の頃より様々な賞を獲得し、卒業後は、オーストラリアをはじめ欧米各地で展覧会を開催しています。1993年にはヴェニス・ビエンナーレにオーストラリア代表作家として選出され、日本での展覧会には『Childユs Play』(2003年、横浜美術館アートギャラリー)があります。
クリスティーネ・クリメンスンは1979年コペンハーゲン生まれ。2002年Glasgow School of Artを卒業、2007年The Slade School of Fine Art(ロンドン)にて美術学修士号取得。現在もコペンハーゲンにて活動しています。Centre of Contemporary Art(グラスゴー、2004年)、G126 Galway(アイルランド、2010年)での展覧会の他、主な展示に『Til Vaegs』(2009年、Kunsthal Charlottenborg、デンマーク)があります。
トム・フリードマンは1965年アメリカ、ミズーリ州セントルイス生まれ。イリノイ大学にて彫刻を学び、1990 年美術学修士号取得。現在はマサチューセッツ州を拠点に制作活動を行っています。ニューヨーク近代美術館をはじめ世界各国の美術館で展覧会を開催し、近年ではロンドンのSouth London Gallery、シカゴ現代美術館、ミラノのプラダ財団で個展開催。
リッキー・スワローは1974年オーストラリア、サン・レモ生まれ。現在はロサンゼルスに活動の拠点を置きます。1997年Victorian College of the Arts卒業。2005年にはヴェニス・ビエンナーレにオーストラリア代表作家として選出され、主な展示に『Ricky Swallow』(2006年、PS1/MoMA、ニューヨーク)、『The Bricoleur』(企画:Alex Baker、2009年、National Gallery Of Victoria、メルボルン)、『GOTH -ゴス-』(2007年、横浜美術館)があります。

お問い合わせ先:

[ 小山登美夫ギャラリー ] プレス担当 TEL:03-3642-4090

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