About the Exhibition

大竹利絵子

夢みたいな
2009年11月26日(木) - 12月26日(土)
小山登美夫ギャラリー京都
オープニングレセプション 11月26日(木) 6:00 - 8:00pm
*[アーティスト・トーク] ギャラリー内 :11月26日(木) 5:00pm -(ご予約不要)
  • 大竹利絵子 展 夢みたいな 2009

» 作品紹介

大竹利絵子は樟を中心とする無彩色の木彫作品を制作しています。それらの作品は繊細でどこか不安定にみえながらも、独特の揺るぎない強さと深遠さをたたえています。それは彼女のつくり出す木彫作品の形象やその質感が、木といういわばシンプルな素材がもつ物質性から神秘性を引き出し、叙情あふれる物語を想起させるからなのでしょう。
 昨年小山登美夫ギャラリーで開催された展覧会『とりとり』では、それ以前から制作していた少女のモチーフに、作家がこれからも継続して制作していくという鳥たちのモチーフが加わりました。まるで私たちの想像を羽根にのせて飛んでいくかに思えるこの鳥たちをみるとき、彫刻という表現へ真摯に向き合う作家の誠実さを感じると同時に、作品のもつ素材感が限りない可能性をもつイメージへと広がっていくのを予感せずにはいられません。

» 展覧会について

大きな少女と小さな少女のインスタレーションが、サイズを違えて2組登場する予定です。『夢みたいな』というタイトルは「夢」と「現実」の区別自体を超えた、大竹の作品そのものによってしかつくり出せない世界、また作品のイメージや形態を通してしか出会えない世界を意味しています。普段よく使う樟に加え榧(かや)の木も使用した、前述の作品を含む新作6 – 7点を展示いたします。是非ご高覧ください。

» 作家プロフィール

大竹利絵子は1978年、神奈川県生まれ。2002年に東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業。2004年同大学院美術研究科彫刻専攻修了、2007年同博士課程を修了しました。現在も神奈川を拠点に制作活動を行っています。
2005年第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展入選。2007年、東京芸術大学大学美術館陳列館で開催されたグループ展『物語の彫刻』展に、小谷元彦、棚田康司らと共に出展。今年8月には東京藝術大学大学美術館陳列館でのグループ展『彫刻 - 労働と不意打ち』に出展しました。小山登美夫ギャラリーでは、昨年に続いて2度目の個展となります。

お問い合わせ先:

[ 小山登美夫ギャラリー 京都 / TKGエディションズ 京都 ] プレス担当:藤川二葉 TEL:075-353-9994

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夢と現実とが重なりあうところ – 大竹利絵子 展

安河内宏法・京都芸術センターアートコーディネーター

「どんな鳥だって想像力より高く飛ぶことは出来ない」と語ったのは詩人・劇作家の寺山修司である。この言葉は、かつて花開いた前衛芸術の旗手たる寺山らしい芸術観をよく示している。そこでは芸術が、現実世界を凌駕する新たな領域を切り開くものとして想定されている。

彫刻家・大竹利絵子の作品は、そうした寺山の言葉と照らし合わせるのならば、いささか相性が悪い。というのも、彼女の作品は、現実世界を凌駕するものというよりかは、現実世界と虚構世界とが重なり合う領域を提示するからである。

本展は、楠や桂などを素材とした木彫作品10点で構成されている。作品のモチーフとして選ばれているのは、少女と鳥である。鳥の背に乗っていたり人の足部に腰かけたりしながらどこか遠くを見据えている少女たちが、無彩色でノミ跡を残すようなかたちで彫り出されている。そうして作られた大竹の作品は、高さ2メートルを超えるものであっても、堅牢な物質性ではなく、繊細さを強く感じさせる。

出品作品のうち特筆すべきなのは、対になるように展示された«Girl»と«Doll»であろう。タイトルに従うのであれば、«Girl»においては椅子に腰かける裸体の少女が、«Doll»においてはスカートの裾をつまむ少女の姿を模した人形が、表されていることとなる。しかし大竹は、«Girl»を少女らしく、«Doll»を人形らしく作りはしない。両者は一見したところ、どちらが少女でどちらが人形なのか判別することはできない。むしろ私たちの持っている「少女らしさ」のイメージに合致しやすいのは、より均整のとれたプロポーションを持っている«Doll»の方であって、頭部がいくぶん大きく作られた«Girl»には、どこか幻想的な雰囲気さえ感じられる。つまり、ここでは少女の中にある神秘性や非現実性と、人形に見出される人間らしさとが対比的に示されているのである。

«Girl»と«Doll»の対が象徴的に示すのは、現実の中にある非現実性、あるいは、虚構の中にある真実性といった感覚である。そしてそうした感覚は、本展の出品作品のいずれにも通底する。大竹は、展覧会タイトル「夢みたいな」が端的に示すように、現実と夢のどちらにも還元することの出来ない両義性を持つ作品を作り出したのである。

初出

*上記原稿は、京都新聞 朝刊(2009年12月5日付)に掲載されたものに新たに加筆修正を加えたものです

大竹利絵子展 展評

池上 司・西宮市大谷記念美術館 学芸員

記事をpdfで読む» 大竹利絵子 展評 「日本経済新聞 夕刊」(2009年12月8日付)pdf(249 KB)

大竹利絵子 日本経済新聞 夕刊 (2009年12月8日付)展評

初出

*日本経済新聞 夕刊(2009年12月8日付)に掲載

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