
installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008 © Nana Funo
小さい頃から、ひとりの世界に閉じこもるために
絵を描いていたような気もします
私の場合、ものすごく早い時期からです。幼稚園に入学するかしないかの頃には、画家の先生が絵を教えに家に来ていました。小学生時代もずっと絵が好きで、中学時代には美術部に入り画塾に通っていました。高校は美術・デザイン科、そして大学、大学院をつい最近出たところです。
いえ全く。私には兄弟が5人いますが(姉、弟が2人、妹。私は2番目)、みんな性格が違うし、全く違うものに興味をもっています。兄弟全員が絵を習っていたわけではなく、それでも私は、よく覚えていないくらい小さい頃から美術に興味があったんです。5人も兄弟がいたので、ずっと喧しくうるさくて、ずっと一人っ子や鍵っ子に憧れていて、そんな自分をいつも想像していました。ずっと1人だったら寂しくて他人とのふれあいのようなものを求めるのかもしれませんが、私の場合いつでも周りに野蛮な子供がいて、それが嫌でひとりの世界に閉じこもるために絵を描いていたような気もします。そうしてどこへ行くにもお絵描き帖を持ち歩いていた記憶があります。
染料のペンで描き、その上にジェッソをかぶせて、更にその上に艶を出すメディウムを塗ると出来上がります。染料のペンでも色々と20本くらいは買って試してみましたが、一番良かったのはよく売っている、一番安いものでした。100円ぐらいの(笑)黒ですが、のっけてみると藍色のような色が出てきます。
いえ、コンビニでも売っているような、本当によくあるタイプのものです。
はい。ジェッソを塗るときに一瞬だけ真っ白になって、インクが滲んでいきます。
![Nana Funo [まじない], 2008](images/Pa0802.jpg)
![Nana Funo [まじない(detail)], 2008](images/Pa0802_detail.jpg)
![Nana Funo [F氏の憂鬱], 2008](images/Pa0804.jpg)
![Nana Funo [蝶の秘密], 2007](images/Pa0701.jpg)
L to R :"まじない", 2008 "まじない"(detail), 2008 "F氏の憂鬱", 2008 "蝶の秘密", 2007 © Nana Funo
毎日持ち歩いているドローイング・ノートに、言葉みたいなものをずっと書いていて、それをタブローにもしようと考えました。これは英語ではなくて、ローマ字の筆記体です。しかも私、筆記体もあまり上手く書けないので・・・。「英語っぽい」「格好いいかな?」なんて思って。きっと外国の人がみたら変な気分になるんじゃないかな、と。逆に、外国の人でも変な日本語の、「根性」とか、着ていたりしますよね。色も、真面目な感じなのに、外国の人からみるとプッと吹き出してしまうような感じなのかもしれません。自分でも読めないぐらいです。
描くときに考えて書いたので、その時々によって違うのですけど。これは悩み事、苦しいという内容だった気がします。よく愚痴のようなものも書きます。悪口のようなものや、うまくいかないことなど。愛や恋などについて書くこともありますが、悪口や悩み事のほうが早く書けます。葦ペンで乾く前に引っ掻くように書くので、(乾くのが早いアクリル絵の具をのせた大きな画面など)急いで書かなくてはいけない時は、そういう悩み事や愚痴のようなものになることが多く、小さな画面に油絵具など乾くのが遅い絵の具では、もっといいことをゆっくり書きます。
魔術、魔女といったものが結構好きです。だからといって作品においてグロテスクさをだすのは嫌なんです。内臓が出てるようなものは嫌いです。作品はできるだけさらっと、綺麗なものにしたいんです。
この作品は真ん中から描き始めて、だんだん増えていくんですよね。どこまで大きくするかも何も決めず、しかも歪んでもいる。いつも下描きはしないで、集中すると1日で描くこともあります。集中している時というのは自分では気持ちのいい落ち着いた状態なのですが、周りから見たら確かにすこし気持ちが悪いかもしれません。
F氏って「風能さん」で、私のことなんですよ。この作品をつくっていた時、憂鬱で憂鬱で、仕方がなくて。
はい。どうしても色が使いにくくて。普段描いているドローイングも無地の白に黒いボールペンで描くというのがとても自然で落ち着きます。
この作品は細かく色をつけているのではなく、下地に様々な色がついているだけなんです。その上から白で、周りを蝶型に刳り貫いているような感じです。面相筆で描いています。
"まじない"の場合は、まず真ん中を描き、マスキングテープを貼って、白色を塗ってさらにマスキングテープを貼り、銀色をのせます。文字を書いて、マスキングをはずします。白い枠になっている部分やずれている部分はわざとやっているわけではありません。
いえ。多分好きな形、好きな模様なんです。単純にこの作品は、細かければ細かいほど効果が出て綺麗になるような気がして。崩れていくのが面白いんです。ある程度細かくないと崩れてはいきませんよね。
![Nana Funo [ユニコーン], 2008](images/NFD0803s.jpg)
![Nana Funo [旅行シリーズ], 2008](images/NFPa0820.jpg)
![Nana Funo [冬虫夏草], 2008](images/NFD0806s.jpg)
L to R :"ユニコーン", 2008 "旅行シリーズ", 2008 "冬虫夏草", 2008 © Nana Funo
作業としては、細かいペンや面相筆で繰り返すのが好きです。それが結果として全体を埋めてしまうことも。例えば、"まじない"もあまり考えずにやっていましたが、そうなっていますね。いつも小さなボールペンなんかを使っていて、太い筆はあまり使いません。
ノートからアイディアをもらえることもあります。今回の展示には出していませんが、ドローイング・ノートをずっとつけているんです。ノートには《魔女の日記》という名前をつけています。
全然秘密ではないです。
はい、どこでも。2007年の4月からこのノートに描きはじめて、今5冊目です。
形は輪郭を薄く描いて、そこを埋めていく感じです。
いいえ、実際にはほとんど行ったことがありません。東京も今回で4回目です。静岡生まれ、大学は大阪、大学院は京都、現在も京都にいます。なんだかいつも居心地が悪いような気がしているのに、なかなか出かけるのもおっくうで、絵の中でいろいろな場所に行ったような気になっているのかもしれません。
そうですね。この中にも似たようなものが沢山出てくると思います。
うーん。これから出るかもしれない・・・。
小説はよく読みますが、それはそれとして。
例えば、ドローイングの"冬虫夏草"は私の横顔になっていて。養分を吸い取られてカラカラになっています。三つ編みで頭と頭がくっついているんです。描くときには、手が描きやすい位置に回したりします。
はい、あります。ねむの木学園が静岡県にあったので、見に行ったことがあります。面白かったです。
自分ではよくわかっていません。余白のある作品もあります。でも後で考えると、やっぱり埋め尽くしていたほうが好きなのかなぁ・・・。まだよくわかりません。


installation view at Tomio Koyama Gallery , 2008 © Nana Funo