
Interview/ Tomio Koyama Gallery photo / installation view : Kei Okano
Bio & Works Press Release installation view page| 1 2 >>
"Benevolence", 2008 / acrylic on canvas / 137.2 x 213.4 x 5.0cm © Benjamin Edwards Photo:Ikuhiro Watanabe
世界中から集められた都市が1つになる時
はい。一旦デジタルのイメージが出来ると、それをキャンヴァス上へ投影するのに様々な方法を用いています。まず、デジタルプロジェクターとマスキングテープ。ペインティングをマスキングテープで覆って、そこに形を描き、切り抜きます。最近のペインティングではビニールカッターも導入しています。予めコンピューター上でドローイングをトレースしておくと、カッターにどこを切りぬくのか、指示してくれるのです。こうして複雑なビニールシートの型(stencil)が出来上がる。それをペインティングの上に置き、ペイントしたい部分は外します。すると今度はそれがまた型になる。だから基本的に私のペインティングは、重なり合うことのない一連の形態の層(layers)であり、各々のペインティングには全部で7〜8の層があります。
アクリル絵の具と混ぜられるもので様々な質感をだします。例えば砂、そしてこのタイヤから作った黒い粉。タイヤは非常に、切り刻んで粉にしやすいんですね。その粉を大きなワイパー(squeegee)で定着させます。ペインティングを地面に置き、材料を落とし、ワイパーで綺麗にむらがなくなるよう滑らかにします。シルクスクリーンでやるように、一つの動きでワイパーを向こう側に引くのではなく、大きなパレットナイフのような感覚で使うのです。私が実際にしたことは、例えるならば3人の人間を地面に配し、材料を流し込み、その3人に大きなワイパーで全面滑らかにさせたような感じです。セメントなんかの、歩道にあるものに近いですね。
あの写真は(下記参照)大きな球体の内側にある、大きなディスプレーで、未来都市というものがどういうものになるのか可能な限りにおいて視覚化した、人気の展覧会でした。この未来図を現実化することが、ある種私の役目だと思っています。必ずしもそれはアメリカである必要はなくて、どこかにある都市、ただグローバル化された都市であればいいんです。
ええ。より大掛かりなプロジェクトとして、あらゆる場所から要素を引っ張ってきて一つの都市をつくるというプロジェクトがあります。世界中の様々な都市をもってきて、仮想空間も現実空間もひっくるめて一つの場所に上塗りするような感じですね。私がやっているのはこうした建築全てを建造し、都市全体を構築することです。建築をつくる方法について説明すると、私とアシスタントで見つけてきた実在の建物、ないしは衛星写真を3次元のコンピューター・モデルに起こします。このペインティング・シリーズの建物は、大作の為のコミッション・プロジェクトで使っていた建物なので、その多くがワシントンD.C.から来ています。それにとどまらず、我々はありとあらゆる場所の建築から成る膨大なアーカイブを蓄積し続けています。ここら辺を歩いている時も建物の写真を撮ってその写真を持ち帰り、モデルをつくるんです。そしてそれらを寄せ集めの中に加えます。
実際の建物の場合、まずは写真を撮ります。ある時は全角度から、またある時は一枚だけ、というふうに。どこの建物であったかわかる限りは、そこに立ち返って衛星写真で検索することもできます。そうすれば衛星写真であらゆる角度から実際に見ることが出来るので、モデルをつくるのには地上から写真を撮るよりずっと適した方法なんです。

"Democracity"
The image source for Benjamin's show from New York World's Fair, 1939


"Machines for Living", 2008 / acrylic on canvas / 137.2 x 213.4 x 5.0cm installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008 © Benjamin Edwards

"Machines for Living", 2008(detail)
© Benjamin Edwards

"Machines for Living", 2008(detail)
© Benjamin Edwards
はい、俯瞰する視点を適用したのは今回が初めてです。これまでのペインティングではずっと、目の高さから地上を見つめている視点でした。今回のペインティングではどうなるか試してみたかったんです。構図については、非常にシンプルなキューブを用いることから始めました。この構図はここにあるキューブから始まって、キューブ、キューブ、キューブ・・・とってもシンプルな街区。そしてここに道があって、などなど・・・。やがてそこかしこに、道路が作られていくことがわかります。こうして全ての形態がシンプルな街区から始まっているんです。それらを我々でつくった実際の建築で埋めていって、どういう風に埋まるか、どう見えてくるか、というのを探るのが面白いんですよ。
これらの作品(ニューヨーク国際万博、1939年)は必ずしもユートピアの描写とはいえないでしょう。むしろ誰かが、如何にしてユートピアという観念を満たすことができたか、ということの描写なのです。この観念に立ち返ってみると、確かにこれはかつての、人々が進歩、実現させようとしたユートピアでした。けれどもそれはユートピアではないんです。私の描くペインティングの多くはユートピアとごくありふれた只の場所、即ち現実世界との断絶をテーマにしています。それから、ある種のユートピアを同時に実現できていると信じてやまない世界の、超資本主義者・超消費主義者もテーマになっています。アメリカではここ数十年間、あるユートピアに向かって着実に歩みを進めているのだという信仰が存在します。「我々は西欧自由主義的民主主義のモデルなんだ」というような、自由市場における信仰、耳障りのよい超資本主義ーー。テクノロジーや進歩といったものにおいて、社会がこの信仰を保持し続けているという観念についての作品なんです。また、まとまりのない街並み、全てが均一に混沌とした都市景観もテーマではあります。
タイトルの多くは只単に面白いものです。時としてル・コルビジェの言葉は、本の1ページにその言葉だけが載っているんです、まるで声明のように。全てが叫びのようで、とても力強い。
はい。


image L to R:"Immense Industrial Undertakings do not Require Great Men", 2008 "The Avenue of Patriots", 2008 / acrylic on canvas / 137.2 x 213.4 x 5.0cm © Benjamin Edwards
いいえ。あの建築形態は1983年の万博でメインとなっていた円蓋(ドーム)構造をもつ建築に由来しています。が、細部の色彩はカリフォルニアのディズニー本社からきています。本社の建物をつくるための対象は、円蓋の形と調和するように変形させてあります。
幾つかは実在する建築で、基本的に企業の本社です。ニューヨークにあるアメリカ銀行の新しい建物や、News Corp. 、Time Warner、GM、GEといったアメリカ企業の主たるものが挙げられますね。
建物の多くは以前制作した大きなペインティングのために選んだものです。軍需産業やマスメディア、石油会社の混合体のようなもの、つまり、ここ8年間のめちゃくちゃな状況をつくりだした元凶とも言えなくもない企業を選ぼうと試みました。例えばマスメディアは共謀して戦争へと導き、真に何かを問うことはなかった。石油会社も明らかにそうであるし、軍需産業は露骨にそうです。このペインティングでは、企業世界が政府に浸透していることをテーマにしています。それに関係する汚職や腐敗―。あの大きなペインティングを描くのに、私はこの都市全体を構築しました。これらのペインティングは、ある一つのペインティングを制作するために、一つの場所にあるカメラをもって、それで様々な角度から都市を見下ろす。基本的に一つのカメラの視点から外れて、様々な観点から見下ろせる状況でー。それゆえにこれらのペインティングと大きなペインティングは深く関係しているんです。
はい。
この作品(《生きるための機械》)の中の建築は全てアパートです。その多くは私のアトリエの近くにあるもので、ワシントンにここ数年で建てられたアパートばかりです。構図はル・コルビジェのイメージに影響を受けているところが多少あって、彼の本に載っている挿絵の一つの精密なレプリカといってもいいでしょう。見下ろしてみると、同じチェッカー盤のフォーメーションに配置されたこれらの塔があります。他のペインティング、例えばこのペインティング(The Avenue of Patriots)ではK通りが基になっています。K通りってご存知でないかもしれませんが、ワシントンD.C.にあるロビイストのオフィスが立ち並ぶ通りなんですよ。ロビイストとは政党や議員や官僚に働きかけて、影響を与えようとする者のことです。彼らは政府要人を接待やゴルフなんかでもてなして、自らが代理する団体に有利な政治的決定を行わせようとします。ロビイストは法人の為に仕事をしており、そして彼らの仕事は政党や議員、官僚に働きかけることなんです。あのペインティング(Worship)を見て頂くと、中央に背の高いビルがありますよね。この青いタワーがその建築なんです。
はい。このペインティングに関しては、YouTubeに良い動画がアップされてます。1分半ぐらいのものですが、それを見て頂ければすぐに私の制作過程がわかるはずです。どうぞご覧になってください。

"Worship", 2008 / acrylic on canvas / 137.2 x 213.4 x 5.0cm © Benjamin Edwards You Tube : "The Triumph of Democracy"
page| 1 2 >>