自然のままのようで不自然な風景、
 光や色、形は、不自然すぎないぎりぎりのところを探ります

つくるのに一番時間がかかったのはどの作品でしょう?

"The Swan"かな。通常2つくらいのイメージをベースにしますが、構図や色彩的に、悩み始めるといろんな写真がほしくなり、探し回ります。

両脇のお花と鳥は、最初の段階では入っていなかったですね。

鳥は最後です。どうしても白鳥がほしかったのですが、最初に撮ってたのは、奈良(美智)君の展覧会で青森に行った時、弘前城のお堀にいた白鳥でした。とてもきれいな鳥だったんだけど、ちゃんとしたポーズをしてくれなくって(笑)。入れてみたけど、やっぱり良くないよな…でも白鳥は入れたいし、と。夫に竹橋の近代美術館の前に白鳥がいると聞き、半信半疑で行ってみるとちゃんと泳いでいて。その白鳥は近くまで来てくれたんです。よく見ると、人も今回の作品に登場しています。どこから来てどこに行くんだろうというふうに。

The Swan, 2008The Swan detail, 2008

Left:"The Swan", 2008
C-print mounted on plexigras / 120.5 x 280.0cm
Right:"The Swan" detail, 2008
© Tamami Hitsuda

ベースになっている風景は江東区にある"夢の島公園"なんですよね。

そうです。両脇は台湾の寺院の花と、いつも撮影に行く岐阜の花フェスタ記念公園(世界一のバラ園)の花です。

お供え花は造花なんですか?

造花じゃないと思うんだけど……この赤い花は"夢の島"に咲いてたものです。

重ねる写真は、例えば白鳥がポーズがうまくないなと思ったら、それをさらに加工などすることはありますか?

いや、あんまりしないです。CG的キャラはつくりません。

基本的には画像の加工はせずに重ねるだけなんですか。

はい。

"The Swan"の左部分の白い花も、まさにここの光を浴びているような感じになっていますね。

光は重要なので、写真を選ぶ時から考えます。

そして、それとなく違和感を残してあるというか、一見、一枚の…一つの風景のようでいてズレもあるのが面白いですね。

自然のままのようで、不自然な風景にしたいので、光や色、形は、不自然すぎないぎりぎりのところを探っています。

時間がかかりますよね。

うーん。結構考えています。かかるといえばかかるかな。

いつ、イメージが固まるのか、というところが不思議だなと思うんです。例えば、"The Fountain"のスパンコールの花の青を入れるのかどうか、とか。

あえて、色を入れないでピンクだけにしておこうと思ったけど、青と黄色を後で足しました。刺繍やスカーフの模様なども使っています。

スパンコールの花は薔薇みたいに見えます。ある部分はちょっと夜の感じだったりして。

そうですか。

iThe Fountain, 2008The Fountain detail, 2008

Left:"The Fountain", 2008
C-print mounted on plexigras
120.0 x 189.0cm
Right:"The Fountain" detail, 2008
© Tamami Hitsuda

こういう刺繍のモチーフはあとから見つけてくるんですか? それとも最初から?

いや、ちょっとこういうものが欲しいなって思って、身の回りの自分の物を使ったりすることも時々あります。日常の素材を集める。モチーフにしよう、と言いつつ買い物するための言い訳だったりして(笑)。

デジタルだとやっぱり撮る枚数が増えますか?

増えます。情報が多くなりすぎて。使い切れてません。

今回、「The garden」という主題を選ばれたことで思ったんですが、ロンドンで勉強されていた時にはやっぱりたくさん庭園を見に行かれたのですか。

ええ。つくり込んだ庭が好きだったから。王侯貴族が自分たちのレクリエーションのために迷路をつくったりした庭園もありました。メーズというのだったと思うけど、美しくて楽しめます。

背丈より高いような生け垣の迷路ですね。

それと、世界の鳥を集めている大きい鳥かごのようなものやガラスの植物園。美しい!
それと、ロンドンは歩いていると、お家の入り口や後ろに、それなりにみんな小さな庭を持ってる。家の規格はよく似ているけど庭に個性があるんです。それもよく写真に撮っていました。
日本にもあるじゃないですか。路地に、植木鉢をたくさん置いていたりするところ。配置や種類で個々の思い入れが伺えます。

じゃあ日本の庭園もお好きですか。

日本の庭も面白いです。四季がすべて楽しめるような風情とか。余談ですが、高校時代、高松の栗林公園の近くにある高校の美術部で3年間毎日通って絵を描いていました。その頃、借景の紫雲山の色が変わっていく絵を描いていたのが原点かもしれない。
今回の展覧会のテーマを「garden」に決めて、栗林公園や六義園や小石川植物園なども撮影に行きました。やっぱり手を掛けてつくりこんだものが好きですね。超自然は感動するけど、むしろ、自然のふりしてるけどつくってる、操作している感じがいい。箱庭みたいなものですね。あと自宅の庭や花もかなり撮っていて使っています。

そう伺って観ると、作品の風景もちょっと箱庭みたいな感じがしますね。次にやってみたいプランはありますか。

インスタレーションと本です。

インスタレーションというのは、東京都写真美術館の展示のような感じでしょうか? 花びらとかを散らしていて、香りをつかったりしてましたね。それこそ、庭園みたいな、庭に入り込んだみたいな感じでした。

外からは見えないけど中に入ったら、深い庭になっていました。香りもそうですが、感覚的に感じる写真の庭というイメージ・・・かな。

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