収集すること、記録すること、そして歴史の記憶

一体いくつ、おもちゃの車を持っているのか、気になります。

正確に何個というのはわかりませんが、おそらく5000から6000個でしょうね。すべて、アトリエの棚の引き出しにしまってあります。私が集めたいと思うのは、子供に十分遊ばれていて、私が知らない歴史がある車です。

Skyrideシリーズについて教えていただけますか?

積み木のシリーズのように、乗り物を空間に浮かせるために糸を使いました。運搬車(キャラバン)がケーブルカーのように配置されています。この緑色の糸は、元は私のコレクションの中のおもちゃのクレーン車についていました。

Caravan History Skyride, 2007Fire Department Skyride, 2008

L to R: "Caravan History Skyride", 2007, oil and acrylic on canvas / 101.6 x 165.1 cm
"Fire Department Skyride", 2008 / oil and acrylic on canvas / 30.48 x 40.64 cm © Jeremy Dickinson

Autostackシリーズの乗り物は、顔を思い出させます。タイヤが目のように見えて、一つ一つの車がとても特徴的です。複数の車は家族の肖像画のようでもあります。

小さい絵のモチーフになっている車は、大体シンプルな選び方で選んでいます。フランスの車のグループにしたり、二色で塗られた車、赤い車、そしてスポーツモデルの高性能の車などです。

installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008

Autostack series / installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008
© Jeremy Dickinson

Football League Wall Map (Division 3, Halifax, season 07-08), 2007-08

"Football League Wall Map (Division 3, Halifax, season 07-08)", 2007-08 / oil and acrylic on canvas / 40.64 x 60.96 cm
© Jeremy Dickinson

コレクターがそれぞれ自分の大好きな車をあなたの絵の中に探すでしょうね。

私自身は、車のファンでも、カーマニアでもないんですよ。モーター・ショーにも興味はありません。でも廃車置き場でさびついた車の残骸などを探すのはとても好きです。コレクションするということ、そのコレクションを記録すること、またおもちゃとその歴史について、ということの方が、作品にとっては大きいですね。

車だけでなく、おもちゃのサボテンなども集めていますね。

はい。おもちゃのサボテンも、アメリカの西部地方のセットの一部として集めています。またスーパーボールや、休暇のときに買うようなお土産も集めています。それらはしばしば、乗り物と調和する、「ストリート・ファーニチャー(電柱など、道路の公共物)」として描かれています。新しい<MAP>シリーズではスーパーボ−ルを使っています。'Football League Wall Map (Division 3, Halifax, season 07-08)'では、ボールは北イギリス地方の町を表しています。中心にあるのは私の故郷のハリファックスで、一番大きいボールです。これはアウェーの試合をみるためにファンが記録した旅路の地図で、前にも出て来た緑色の糸でつながっています。理論上では、これも壁に貼る地図のように、組み立てられる構造ですね。

私が知る限り、いつも車を描いていたように思いますが、いつ、絵を描くことと車のコレクションが合体して、作品として現れるようになったのでしょうか?

15歳から20歳の頃は、地図を描いていたんですよ。すごく細かい、イギリスの「Ordnance Survey」(訳注:日本で言うと国土地理院作成の地図)の、主には私が子供時代から知っているエリアのコピーでした。ちょっと、セラピーに近いのかもしれません。また子供の頃、自分が住んでいた住宅団地の地図をよく描いていました。家から学校、そして町に出る道など、記憶をもとに。

ターニング・ポイントというのはなんだったんでしょうか?

1993年まで、そういった精密な地図を描いていました。そして、ある日はがきサイズのカラー写真をフリーマーケットで見つけたのです。とても見覚えのあるバスの写真で、私の故郷のハリファックスのものでした。それは、私が描こうとしていた記憶に関するテーマと関係していました。そこで私は小さい、写実主義的なバスの描写を始めました。写真をもとにして、見慣れない景色は背景から除きました。それは記憶、乗り物、色、そして地方の固有性などと関連する何かであると気づきました。その作品が、アトリエで箱の中にずっととっておいた、しかしあまり気にしていなかった、おもちゃの車を見直す良いきっかけになったのです。

Halifax Reliance, 1993Halifax Reliance (detaail), 1993

L to R: "Halifax Reliance", 1993, oil and acrylic on canvas / 30.0 x 40.0 cm
"Halifax Reliance" (detail), 1993  © Jeremy Dickinson

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