整えすぎず、粗彫りの勢いを壊さずに

Rieko Otake / Tori-Tori / 2008

"とりとり", 2008 wood (楠) / h. 73 x w. 110 x d. 35cm © Rieko Otake
installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008

今回は大竹さんが初めて行う個展なので、まずは個別に、作品ごとにお話を聞かせてください。
人物のモチーフが多いですが、例えば、いつも面白いポーズをとっていますね。どういうところから着想を得るのでしょうか。例えばこれは?

これは、飛んでいるイメージで、あとはふくろうの形と一つになったときに面白いかなと思って、良いバランスを探してつくりました。

鳥の上であぐらを組んでいるのですか。

そうです。

『とりとり』というタイトルですが、鳥を捕る人というような意味でつけたと前にうかがいました。これは鳥と一体になっているような感じなのですか? それとも鳥は鳥で、上にいるのはあくまで人間なのでしょうか。

そうですね。あくまで人間。人間なのかもよくわからないですけど。まあ人の様な。かたちでは一体ですが、生き物として一体になっているわけではないです。

この鳥はふくろうですか?

これはふくろうです。ドラえもんみたいになっちゃって。(笑)

Rieko Otake / Tori-Tori / 2008

"とりとり", 2008 wood / h. 39 x w. 91 x d. 15cm © Rieko Otake
installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008

顔がかわいい感じですね。鼻の怖いところなどがあまりなくて。でも爪は鋭かったり。
こっちの鳥はなんでしょう。

これは、鳩なんです。

翼が大きい。

はい、そうですね。

上にうずくまっている人は、どうして隠れるような感じになってるのでしょうか?

いくつか同時につくっていて、全体的には森のようなイメージが自分の中出てきて、それでこう、鳥に隠れて何かから身を潜めるようなイメージが出てきました。

今回の展示は空間全体が森みたいな、そういう広がりをもっているのですね。

そうですね。

Rieko Otake / Tori-Tori / 2008

"とりとり", 2008 wood / h. 65 x w. 109 x d. 56cm © Rieko Otake
installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008

こちらの鳥は何でしょう?

これ、シメです。

普段自分のおうちの周りにいるのでしょうか?

そうですね。いると思います。でも最初は図鑑で見て、気に入ったのをつくります。

最初は図鑑で。

こういうのは写真をちょっと見ながら作ったりする。写真見ながらつくってます。

実際に見たことがなくても、つくりたいと思うものが出てくるのですね。

はい、そうですね。

ここには展示していない作品ですが、タイトルにの「ユメムシ」というシリーズがありますね。ユメムシというのはどういう意味ですか。

ユメムシは、実際古語である言葉で、蝶々という意味があります。「夢」という言葉を使いたいなと思っていて、たまたま見つけました。

Rieko Otake / snake / 2006

"へび", 2006 wood (檜) / 31.0 x 21.5 x 17.0 cm © Rieko Otake
installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008

前までは、樟(くす)の素材をずっと使っていたと思いますが、今回は、作品ごとに違う素材が登場しますね。

そうです。樟のほかに、あれ(写真・右)は檜で、これ(対に並ぶ女性象:写真・下)は桂です。

今回わざと違う素材でつくってみたのはどういう意図でしょう?

たまたま材木屋さんに行ったら違う木があったので使ってみようかなと、思ったんです。

それぞれつくってみていかがでしたか?

素材ごとに特徴がありますね。木によって出てくるかたちが違うので、彫り具合も変わってくる。

柔らかさとか、目の出方とか。

そうですね。むいているかたちとかもあると思うんですけど。

Rieko Otake / Tori-Tori / 2008

"とりとり", 2008 wood (桂) /
右:h. 160 x w. 15.5 x d. 16.5cm
左:h. 160 x w. 16 x d. 17.5cm
© Rieko Otake

具体的にはどのような?

例えば桂はすごくやわらかくて、加工しやすいのですが、気をつけないとかたちがぬるくなる感じがあって。

なるほど。

樟がいちばん扱いやすいかもしれません。

黒い部分は、彩色をしているのでしょうか。

あ、黒いのは、墨です。墨でデッサンしながら、彫っていくんですけど、それがちょっと残っています。あまり細かいところが気にならないっていうか。それもいいかなって(笑)。

人のかたちのモデルはいますか

モデルは特になくて、自分でいろいろバランスを崩したり、動かしながら決めていきます。

では、誰かにそのポーズをしてもらうとかそういうことは必要なくて?

ないです。鏡で自分で見ることは時々ありますけど。

Rieko Otake / Tori-Tori / 2008

上の写真の"とりとり", 2008 wood (桂) をそれぞれ真横から撮影
右側の女性は前傾しており、左側はやや後ろに倒れている © Rieko Otake

だからといって自画像な訳でもない、と以前おっしゃっていましたが、実際の人の形がどうなっているかという問題よりは、頭の中でバランスを考えるのでしょうか。

そうですね。木で、という感じですね。そこにある木を見て、という感じ。例えばあの(写真・右)二つは元々は丸太の半分、板材みたいな素材だったのですが、切ったらまっすぐには切れなくて、斜めになっちゃったんですけど、傾いている形が面白いなあと思って。ちょっと前傾しているのと、後ろに倒れそうなのとをつくりました。これは割とノープランで、というか木を見て、即興的につくった感じがあります。

作品にかかる時間は、それぞれの作品によって違いますか?

そうですね。

大体は一つにどれくらいの時間が?

いろんなのを同時にやっているので、一つにどれくらいっていうのはないですけど、スタジオに常にいくつかつくりかけのものがあって、それを同時に進めていくようにしています。

人以外のモチーフを作ったのは今回が初めてですか?

そうですね、初めてです。いつもと違うのをつくるのが、面白かったです。裸の人とかって、だんだんつくっていると自分の中で出来てきてしまう部分があったんですけど。羽根の部分をつくるのには、薄さと厚みをどう出すかとか、構造的にも不思議な形をしているし、ふくろうの足とかも、面白かったですね。

他の動物にもチャレンジしてみようかと思いましたか?

なるかもしれないですね。鹿に興味が。

すごく面白い形ですよね、鹿も。
普段の制作している様子についてお尋ねしますと、毎日制作は何時間くらいとか、結構スタイルが決まっていますか?

特に決まっていなくて。仕事しながらやっているので、仕事の入り具合によって、休みがいっぱいとれたときは制作に集中できるし、昼間仕事だったら夜やったりとかで、まちまちです。空いた時間を見つけたら、居間でも彫るような感じですね。木屑が家の中に、いろんなところにこぼれています。

浮かんだら、とりあえず始めてみる、という感じ。

とにかく時間がかかるんですよね。

今回もぎりぎりまでがんばって制作をしてくださいましたが、ここで終わり、完成だな、というのはどういうふうに自分でわかるのか、説明できますか?

あるところで、あんまりこれ以上いじっても変わらないだろうなっていうのが見えてきます。全体で見たときに、作品が自立したとき、という感じでしょうか。多分細かくどんどん整えていけばずっとできちゃうと思うんですけど、それをやることで粗彫りのときの勢いがなくなっちゃったり、という失敗もしたことがあるので、なるべくその勢いを壊さずに、いい状態で終われたらいいなと思っているんです。

Rieko Otake / Tori-Tori / 2008

今回の展示のなかで最も小さかった作品。"とりとり", 2008 wood (楠) / h. 20 x w. 11.3 x d. 10.5cm © Rieko Otake
写真・下は展示の様子。installation view at Tomio Koyama Gallery, 2008

作品の大きさについては、これ(写真右)などはとても小さい作品ですが、もともとの素材の木が小さかったんですか。

そうですね、それはちっちゃいのをつくろうと思って、ちっちゃくしました。自分で切って。

小さいのと大きいのをつくっているときはどういうふうに違いますか?

やっぱり小さいほうが、ちょっとやりやすい感じはあります。全体が見えるし、(手の)中でこう、やれる感じがあって。大きいのだと、体でぶつかっていくような感じ。それはそれで、神経の使い方が変わっていくというか、平面になると同じなのかもしれないですけど、そうですね、小さいほうが難しいような気も、します。

小さいのも大きいのも同時につくっているんですね。

そうですね。

制作が終わったばかりで多分ほっとしていると思いますが、つくっている最中に、次はこういうのをつくりたい、というのは浮かんできたりしますか?

あります。これ(前述:写真左)も、大学のグループ展がぎりぎりのときに浮かんでしまって、現実逃避みたいな感じで。大学のほうがいっぱいいっぱいなのに、ちょっとイメージをおおざっぱにつくってみたりとか、何かつくっているときに別の作品が浮かんで、というのはよくあります。

次回の具体的なプランはありますか?

あります。鳥で、また何かつくれたら。壁につけるという展示を初めてやって、面白いなと思ったので、そういうプランがいくつか浮かびました。

展示の仕方については、落ちる影まで作品に含める人も居るし、フラットに作品をあてる人もいますよね。今回はすごく空間的な展示だと思いますが。

そうですね。これだけまとめて作品を見せること自体、今回初めてなんですけど、彫刻の面白さはそのへんにある部分が大きいんじゃないかなと思うので、こういうスペースを与えられるんだったら、そこを軸にして、プランを考えたいです。


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