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Stephan Balkenhol : シュテファン・バルケンホール

ARTIST   INTERVIEW

installation view at Tomio Koyama Gallery, 2007
"wall-figure (female/male)"
© Stephan Balkenhol

説明的な意味からの解放

「man with white shirt and a woven relief」のインスタレーション時に面白いなと思ったのが、レリーフを背に正面を向いていた人物の彫刻をあなたが(真正面から)左に角度をつけたことです。ずらしたことによって、観客に彫刻をある特定の角度から観てもらうことを勧めているかのようで、美術史的な彫刻の視点から見ても興味深い試みだと思いました。

Stephan Balkenhol

"man in white shirt and a woven relief", 2007
douglas fir, wawa wood, painted
170.0 x 34.5 x 25.5 (figure) 139.7 x 98.7 x 4.5 (relief)
© Stephan Balkenhol

全体的に、インスタレーションがきれいに整いすぎていてもつまらない、と思いました。人物と抽象の関係性を提示できるのであれば、「man with white shirt」はレリーフの前である限り、どの様に配置しても成り立つと考えています。人物を壁の方に向けて置くこともできたわけです。
個々の作品は、それぞれ異なる要素を探求しているのですが、特にレリーフとの組み合わせた作品に関しては、彫刻に背景を与えるという趣向です。背景は、その人物の世界観の構築に影響してくるので、私はそれを自分で創ることで納得のゆく、より確かな状態にしたいと思いました。具象と抽象の相互関係は、響き合う音のように、また違ったスケール感と深みを我々に与えてくれるはずです。

セットの作品を創るときはどのようにレリーフと彫刻作品を組み合わせているのですか。

それは私にとっては視覚言語の域ですね…。抽象的な形態を扱うと、美術史や抽象芸術家との関係が必然的に生まれてきます。ただ私にとって抽象は、レリーフであるということもあり、立体的な模様なのです。そしてそれに見合った具象彫刻を創り、二つの形態の間に生まれる相互関係や緊張感を見せたいと思っています。組み合わせは至って感覚的なものです。

それでは、まず全体的なイメージがあるのですね。手当たり次第に二つ選ぶのではなくて。

そうですね。

ドイツは、特に南ドイツに、ゴシック様式の彫刻の長い歴史が有ると思うのですが、ご自分の作品にそういった歴史は影響していると思いますか。

そういった文化の上で生まれているので、確かに私の作品に影響しています。それは私の視覚的な思考の一部であり、私にとって具象作品を制作することは自然な行為だと思います。中世の歴史からみても、彫刻は常にある思想や政治、宗教を表すためだけに社会的機能を果たしてきたと思われがちです。しかしそれだけではなく、ゴシック調の彫刻を見てみると(聖者、マリア像やキリスト像でも何でもいいのですが)、私にはそれらが機能を超越した、紛れもない芸術作品のように思えるのです。その時代を生きた芸術家や職人が現実をどう受け止め、どう自分たちを見ていたのかが反映され、凝縮されている。だから彫刻は昔から芸術家の想いを反映するのに恰好の表現媒体でもあったといえるのです。私は、自分の作品を通して、人物のイメージを説明的な意味から解放したいと思っています。そして、誰にでもなれる、単純な“空(から)”の人影だけを見せようとしています。

マリア像や仏像のようではないのですが、私はあなたの作品を見ていて、何かに祈るような気持ちになることがあります。それはおそらく作品を見るときに、自分の中を見つめているからで、それが自分にとっての祈りであるということなのだと思います。ですからあなたの作品が教会に展示されたら面白いと思いました。宗教の意味以外に祈るという新しい場所になるはずですから。

今の世の中はとにかくメディアの写真や広告などの情報で日々溢れており、我々の感覚を麻痺させているように思えます。なので、自分自身の中を見つめる静かな機会があまりなく、非常に難しい時期です。マスメディアの写真も人物の写真であることに変わりがないのですが、それらのイメージには映画の宣伝や商品を売るための、消費者としての人間の側面しか描かれていない。私はとてもシンプルでありつつ深い人物像に焦点をあてたいのです。そこには、余計なメッセージは何一つ要らない。とても静かな人物像なのですが、その静寂さ故にもっと大きなことを語ってくれるでしょう。

Stephan Balkenhol

"big head with 3 part-relief (black)", 2007
beech wood, wawa wood, painted with pedestal (pine wood)
173.0 x 65.5 x 84.0 cm (head with pedestal)
© Stephan Balkenhol

この部屋(ギャラリ−2)のカップル「wall-figure (female/male)」がアダムとイブの様でとても面白いと思います。そしてこの大きな頭が唐突にある。この黒い背景は少し前から創っていたのですか? 今回の展覧会のポストカードにも使われていますが、しばらく手元にあったのでしょうか。

この レリーフ(「3-part relief (black)」)はベルリンの展覧会のために用意したもので、今年の夏からすでにありました。しかしこの背景の前に置く作品をベルリンの展覧会までに間に合わせられなかったのです。実際この大きな頭も先週創り上げました(笑)。

Stephan Balkenhol

"architecture, Fellbach", 2007
wawa wood, painted
299.5 x 102.0 x 4.5 cm
© Stephan Balkenhol

風景を選ぶときは、訪れたことのある場所を選んでいるのですか? それとも想像上の風景なのでしょうか。

訪ねたことのある場所です。自分で撮った写真がもとになっています。

ドローイングは、彫刻のための習作になっているのですか。

彫刻のためのアイデアをスケッチすることもありますが、大体は自分のためのドローイングです。本や雑誌の中からスケッチの対象を探すこともありますし、自然や身の回りのものをよくスケッチしています。ドローイングは、私にとって視覚的な運動であり、体操でもあるのです。

process for installation

台座にのった人物の作品の高さは、息子さんと丁度高さが同じくらいですね。彼はシュテファンさんがアートを創る上でなにか重要な役割を果たしているのでしょうか。

それは特にありません(笑)。高さのことで余談ですが、今年創った台座の上の人物の高さは全て50センチなのです。それは制作時の私の年齢に合わせるようにしています。ですから私は今50歳です。

process for installation

赤い制服を着た女の人は何か政治的な意味があるのでしょうか。

軍事的な意味とも勿論とれます。ドイツは特に軍の力によって抑制された村がたくさんあるので。しかし重要なのは制服の下はみな同じ肉体をもっているということです。皇帝だって裸になってしまえば一緒ですから。結局、みんな人間なのです。

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