五島記念文化賞 美術新人賞研修帰国記念

加藤美佳
2006年12月16日(土)〜2007年1月20日(土)
冬期休業:12月29日(金)〜1月8日(月)

<オープニングレセプション>
12月16日(土)6:00〜8:00pm

みんなのお墓
2006
117.2x90.1cm
oil on canvas
(c) Mika Kato
 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。この度12月16日から1月20日まで加藤美佳展を開催する運びとなりました。
 加藤美佳は1975年、三重県生まれ。1999年、愛知県立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業。2001年、同大学院修士課程修了。同年、五島記念文化賞美術新人賞を受賞しました。現在、三重県を拠点に制作活動を行っています。小山登美夫ギャラリーでは、在学中2000年の個展「カナリヤ」以降、6年ぶり2度目の個展となります。続く2001年、水戸芸術館で個展「クリテリオム48」を行った後、加藤の作品は国内外の様々な展覧会に出展されています。2001年アイオワのデモイン・アート・センターから始まったグループ展「My Reality ? Contemporary Art and the Culture of Japanese Animation」は、ニューヨークのブルックリン美術館他全米を巡回。その他、「CASINO 2001」(01年、SMAK、ゲント、ベルギー)、村上隆キュレーションによる「ぬり絵」(02年、カルティエ財団現代美術センター、パリ)、「絵画新世紀」(03年、広島市現代美術館、広島)、「ジャパン・ライジング」(03年、パームビーチICA、フロリダ)、「六本木クロッシング」(04年、森美術館、東京)、「オフィッチーナ・アジア」(04年、ボローニャ近代美術館からイタリア巡回)、「ベリー・ベリー・ヒューマン」(05年、豊田市美術館、愛知)などに出展。現在、横浜美術館にて開催中の「アイドル!」にて展示中の作品は、2005年、ロンドンのWhite Cube /Jay Joplingでの個展の際に描き上げられました。
 加藤の絵画からは、私たちの住む世界の美しさ、残酷さ、そこに常につきまとう寂しさと暖かさが、渾然一体となって感じられます。ある時にはそれは、不安定で儚く、けれどその無意識の内に大きな力を秘めた、少女という存在になぞらえられます。これまでの油彩画には、大きなキャンバスに、写真と見紛う程の緻密さで少女の姿をした人形の顔が描かれていました。加藤はまず自らの手で人形を作るところから制作をスタートさせ、長い過程を経てその像をタブローに仕上げます。オブジェを作り、写真撮影をし、それを地図のように足がかりにしながら、少しずつキャンバスに描き込むという作業によって、描かれる対象は単なるモノでは無く、魂を吹き込まれた普遍的な人間存在そのものへと塗り替えられて行きます。完成した絵画の印象は、明晰なスーパーリアリズムの冷ややかさとも、呪術的な力を呼び起こすマジックリアリズムとも異なる、アンヴィヴァレントな感覚を私たちに与えます。粘土の人形たちにほどこされた思い思いの装飾−ビーズの飾りや帽子、また添えられた動物の骨や花、鳥の形のブローチなどは、少女たちが夢想する理想的な世界を形作るロマンティックなオブジェであると同時に、孤独な彼女たちにそっと寄り添う、小さな友達のようでもありました。今回描かれた新しいモチーフもまた、彼女が身近な場所から見いだしたものばかりです。『みんなのお墓』と題された作品では、海辺に打ち寄せられたグラスビーズを使って作られたオブジェがモチーフとして描かれています。宝石のように幻想的な光を宿したそれ自体、水面に漂う見知らぬ美しい獣のようにも、もしくは全ての生き物が帰り行く場所としての、大きな墓所のようにも思えて来ます。
 本展では、新作ペインティング3点と木炭画6点、人形1点が出展される予定です。「色々な存在みんなが、きらきらと暮らしている、そんな光景をイメージしている」という作家の新たな世界を、この機会に是非御高覧下さい。

小山登美夫ギャラリープレス担当:大森智子 TEL:03-3642-4090